テクニカル分析について勉強を始めると、ボリンジャーバンドというインジケーターがよく登場します。
バイナリーオプションでハイロー取引をするときには最重要とも言われているのがボリンジャーバンドで、ハイローオーストラリア(Highlow.com)の攻略には欠かせないツールです。しかし、ボリンジャーバンドを本当に理解するためには統計学の知識が必要になるので、難しいインジケーターとして敬遠していることもよくあります。
しかし、原理のイメージをつかめてしまえばボリンジャーバンドはバイナリーオプションの予想を立てるのに幅広く活用できます。テクニカル分析の能力を高めるためにも、ここでボリンジャーバンドについて理解しておきましょう。
この記事ではボリンジャーバンドを他のインジケーターと組み合わせて、ハイローオーストラリアを攻略する方法も紹介します。
ボリンジャーバンドは「ばらつき」
ボリンジャーバンドはチャートを見たときに値動きがどれだけばらついているかを視覚的に見て取れるようにするためのインジケーターです。
ボリンジャーバンドは移動平均線に標準偏差を組み合わせてバンド状に表示するのが特徴です。
ボリンジャーバンドの理解には標準偏差のイメージを持てるようになることが大切なので、まずは標準偏差の概要を理解しておきましょう。
偏差値と標準偏差
偏差という言葉に関連する統計用語としては偏差値を聞いたことがある人が多いでしょう。受験業界では必須とも言える指標になっているのが偏差値で、模試を受けたときの偏差値で志望校を決めることもよくあります。
偏差値は平均からどれだけ離れているかを「50」という値を中心にして考える指標です。偏差値の計算にも標準偏差が用いられていて、平均値からのばらつきが大きいときには標準偏差が大きくなります。
値動きで考えると高値にも低値にもばらついているような際には標準偏差が大きくなり、平均値からあまり推移していないときには標準偏差が小さくなります。
数学的な表現をすると標準偏差は母集団の分散の平方根です。
分散は母集団の各要素と平均値の差の二乗を計算して総和を取り、要素の数で割ったものを指します。平均値との差を取った値を使って足し合わせていると考えると、平均値から価格が外れているケースが多いときほど標準偏差は大きくなるとイメージできるでしょう。
なお、標準偏差はギリシャ文字のσ(シグマ)っで表現するのが一般的になっています。
ボリンジャーバンドの意味
ボリンジャーバンドは移動平均線に対して標準偏差を合わせたものです。
移動平均線±σ、±2σ、±3σという形で移動平均線を含めると合計7本を表示してテクニカル分析をするのが一般的です。

ボリンジャーバンドはどれだけ価格がばらついているかを示しているインジケーターなので、バンドが広いときほど価格がばらついていてボラティリティが高くなっていると解釈できます。逆にバンドが狭いときにはボラティリティが低くて値動きがほとんどないか、緩やかで一様になっていることを召しています。
値動きの激しさがどの程度かを一目で判断することができるというイメージを持つと良いでしょう。
ボリンジャーバンドが広いときには価格が大きく動いていることがわかりますが、一方向に動いているとは限りません。買う人と売る人が拮抗していて価格が上下動を起こしていることもよくあります。
急勾配のトレンドが発生しているときにもボリンジャーバンドは広くなる一方で、終値はほとんど変わらないのにボリンジャーバンドは広いということもあるので解釈をよく考えるのが大切です。
バンドウォークとポージとスクイーズで相場を読む
ボリンジャーバンドがバイナリーオプションで使えるのは相場の動きを読めるからです。
単純にばらつきの大きさを見ることもできますが、バンドウォーク、ポージ、スクイーズの3つに着目するとはっきりとしたパターン認識が可能です。パターンで解釈できるようになると、チャートを見たときにすぐにエントリーを検討すべきかどうかがわかります。
まずはこの3つの意味と解釈を知っておきましょう。
バンドウォーク
バンドウォークとはボリンジャーバンドと実際の価格が重なっているパターンを指します。一般的には±2σか±3σのバンドをなぞるようにして価格が推移しているときにバンドウォークが起こっていると考えます。

バンドウォークはトレンド相場を示す指標になります。
トレンドが発生しているときには1つの方向に偏って価格のばらつきが起こっている状況です。
過去の価格の影響を受けた数値を示す移動平均線よりも標準偏差分だけずらしたボリンジャーバンドが実際の価格と一致しているときには、売買の状況がトレンド方向に沿っていることを示しています。一致率が高いほど信憑性が高いので、そのままトレンドが続くと期待できるでしょう。
バンドウォークが始まった段階はトレンドの発生を示唆しています。
ローソク足で2~3個分の一致でも大きなトレンドの発生を直前に見分けられるため、エントリーのサインを探すときに有効活用できます。バンドウォークをしているのが移動平均線の上側なら上昇トレンド、下側なら下降トレンドを考えて取引を進められます。
バンドのポージ
バンドのポージとはボリンジャーバンドが最も広がったところを指します。ポージの部分では値動きが最も活発でボラティリティが高いことがわかります。その結果としてトレンドが終了するサインになるのがポージの特徴です。

トレンドが終わると見越したタイミングでは為替取引をしているトレーダーが売買を急ぎます。上昇トレンドならこれから値上がりすると思って買いポジションを取っているので、売って利益を確定しなければなりません。
多くのトレーダーが売ると値動きが激しくなります。さらにその売りの動きによって価格が下がったときに、まだトレンドが続くと考えて買い増しをするトレーダーもいます。
このようにして取引のピークに達したのがポージです。
短いトレンドで利益確定と買い増しのタイミングの選び方がトレーダーごとに大きく異なるときに、ポージによるトレンドの停止が発生しやすい傾向があります。
トレンドが継続することもないわけではありませんが、通常はここでトレンドが終わってレンジ相場に入るか、トレンドの転換が起こります。
バンドのスクイーズ
バンドのスクイーズとはボリンジャーバンドが最も狭くなったところを指します。ポージとは逆にスクイーズでは価格のばらつきが少なく、ボラティリティが最も低いタイミングです。

トレンド相場だったときにはトレンドが終わりを告げることがわかります。トレンドが続くと売買を終えたトレーダーが増え、取引量が減ってくるからです。
スクイーズによってトレンドが止まった場合には、通常は新しいトレンドが始まります。上昇トレンドなら買いポジションを取った人が売って利益確定を開始するからです。
まだ上昇するという期待が大きかったときにはスクイーズでのトレンド転換が起こると考えると良いでしょう。スクイーズの後はボリンジャーバンドが広がっていくので、取引が活発になって急速な値動きを起こすのが通例です。
ボリンジャーバンドの注意点
ボリンジャーバンドを使うと値動きが活発かどうかを見極められるので、今後の推移を予測しやすくなります。バンドの幅の広さを見て、平均値からのばらつきが大きいかどうかを判断すれば良いとわかっていると一目で得られる情報量も多いでしょう。
しかし、ボリンジャーバンドには欠点があります。
ボリンジャーバンドは標準偏差を使っている指標なので、値上がりか値下がりかという意味を全く持っていません。平均値よりも高いことが多いのか、低いことが多いのかについてはボリンジャーバンドでは表現できていないのです。
そのため、ボリンジャーバンドを使う際にはあくまで値動きの幅を見ているものだと捉えることが必要です。トレンド系インジケーターとして位置付けられているのは、実際の価格の推移や移動平均線の形状を加味すればトレンドも見極められるからです。
エントリーポイントを決めるときにも参考にできますが、ボリンジャーバンドだけで決めてしまうとほとんど当たらないので注意しましょう。必ず他の情報を加味して確たる根拠を見つけてからエントリーするのが大切です。
ボリンジャーバンドでバイナリーオプション攻略
ボリンジャーバンドの概念や見方がわかったところで、バイナリーオプションでの応用を考えてみましょう。
他のインジケーターと組み合わせるとスムーズにエントリーできるようになります。勝ちやすいエントリーポイントを見つけるのはバイナリーオプション攻略の基本なので、トレードに取り入れるのに効果的な組み合わせ方を紹介します。
移動平均線とボリンジャーバンド
移動平均線とボリンジャーバンドのバンドウォークを使った順張りは、バイナリーオプションでの短期から中期の取引に有用な方法です。
基本的な考え方は、移動平均線とボリンジャーバンドで同時にトレンド発生のサインが出たのを見てエントリーします。
まずは短期移動平均線と長期移動平均線を併用して、ゴールデンクロスかデッドクロスを見つけます。短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜けるゴールデンクロスは上昇トレンドが発生するサインです。

このタイミングでボリンジャーバンドを見たときに、実際の価格が+2σまたは+3σのラインに乗ってなぞり始めていたらHIGHでエントリーしましょう。
逆に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜けるデッドクロスが発生したときに、ボリンジャーバンドの-2σまたは-3σのラインを実際の価格がなぞり始めていたらLOWのエントリーポイントです。

RSIとボリンジャーバンド
RSIとボリンジャーバンドの組み合わせは逆張りによるエントリーポイントを見つけるのに役に立つ組み合わせです。
RSIは買う力と売る力のバランスを示すオシレーター系インジケーターで、反発によるトレンドの転換点を見つける際に活用されています。トレンドの転換時にはRSIが70%以上または30%以下になると考えるのが一般的です。

そのため、まずRSIがこの領域に入ったことを確認して逆張りのサインとします。そして、ボリンジャーバンドを見たときに、スクイーズからバンドが広がってきている様子になったらエントリーポイントです。
RSIが70%以上や30%以下になってもトレンドの転換が起こらず、いつまでもこの領域に入り続けてトレンドが継続することもよくあります。強いトレンドが発生しているときによくあるパターンで、すぐにエントリーすると逆張りに失敗します。
しかし、ボリンジャーバンドで一度スクイーズが発生して収束し、さらに新しいトレンドが生まれる状況が確認されていればトレンドの転換が起こると考えられるのです。

ACオシレーターとボリンジャーバンド
ACオシレーターとボリンジャーバンドを併用するとボラティリティの方向性を見極められるのでエントリーポイントを探しやすくなります。
ACオシレーターは値動きの駆動力を上下それぞれについて評価できるオシレーター系インジケーターです。ボラティリティのように価格のばらつきを見ているのではなく、終値から計算してどのくらい加速度を持っているかを示しています。
ACオシレーターで逆張りをするときにボリンジャーバンドを併用すると確度が高まります。
下降トレンドから上昇トレンドへの転換点を狙う場合には、ACオシレーターが上向きで緑色が2~3本並ぶときが狙い目です。この際にボリンジャーバンドがスクイーズを起こしていると、ばらつきが少なくてまっすぐに同じ方向に価格が動こうとしているとわかります。
微々たる上下動の影響で予想を外してしまわないためには、ACオシレーターによる明確な値動きの方向性が定まっているときにボリンジャーバンドでばらつきが低いことを確認してエントリーするのが良い方法なのです。

まとめ
ボリンジャーバンドは移動平均線と標準偏差を組み合わせトレンド系インジケーターで、価格のばらつき具合が一目でわかるのが魅力です。
値上がりか値下がりかの方向性の情報が失われている点に注意は必要ですが、他のインジケーターと組み合わせて使えば確度の高い予測ができます。エントリーポイントを見極める上で汎用性が高いので、今後のバイナリーオプションに取り入れていきましょう。
特にバンドウォーク、ポージ、スクイーズに着目するとテクニカル分析を迅速かつ精度高く進められるようになります。
ボリンジャーバンドは他にも様々な応用方法があるので、インジケーターとの組み合わせ方と合わせて手法を学んでいきましょう。